病室からストレッチャーに乗せられ、そのままエレベーターで別の階へ、そして手術室に入った。普通に動ける私はストレッチャーから手術台へ自分で移動した。すぐに麻酔医が横に来て、「今から点滴のラインから麻酔薬を入れますね。」「あれっ?吸入で全身麻酔じゃないのかなあ」と思っているうちに意識がなくなった。

   夫によると18時30分にICU(集中治療室)に戻ってきて、すぐに意識を取り戻したそうだ。手術自体は2時間ほどしかかからなかったことになる。身体にはドレーン2本、尿管カテーテル、鼻腔カヌラ(酸素吸入)、右手に点滴、心電図もつながれている。日本だと手術後T字帯を つけるそうだが、私は下着も胸帯もつけていなかった。それと日本だと「硬膜外麻酔」を行うそうだが、この病院ではなかった。

   最初に思ったことは、「なんか痛い。」看護師さんに「大丈夫ですか?」と聞かれて、「水が欲しいです」と答えると、ペットボトルにストローを入れて飲ませてくれた。「痛かったら手元のボタンを押せば、点滴で麻酔が入りますからね」「いつでもこちらのナースコールで、呼んでくださいね」と優しく声をかけてくれる。でも通訳は付いてもらえなかったようで、全て自分で聞いて理解しなければならない。

   だんだん痛みがひどくなるようで、とにかく気をそらしたい。夫に「何でもいいから、何か話してよ!」と叫ぶが、元々口数の少ない夫はなんだかしどろもどろ。痛みをそらす方法を、もっと考えておけばよかった。そしてICUなので夫は8時過ぎに帰っていった。

   いろいろなものがつながれているから、身体を横に向けることは出来ず、あおむけのまま。でも足には定期的マッサージをしてくれる装置が巻かれていて、それがとても気持ちがいい。夜中に何度も目を覚ましたけれど、激痛のためというより、動けなくて目が覚めたようだ。もちろんずっと痛みはあった。何度か麻酔薬のボタンをを押したような気もするが、それもあまり覚えていなかった。




肺がんランキング

 
にほんブログ村 病気ブログ 肺がんへ
にほんブログ村