過ぎてみるとあっという間の半年だった。いきなりの告知を受けて、その日中に手術日が決まり、夫と弟以外には誰にも告げず、手術を受けた。手術後10日後には一人暮らしに戻り、それから1ヶ月後には飛行機に6時間乗って帰国した。

 手術後2ヶ月半で仕事に復帰。職場には手術のことを話していないので、今まで通りの仕事量をこなしている。と言っても、日本で働いていた時の労働時間に比べるとかなり少ないので、フルタイムで働いていると言っても、疲れた時は早めに帰ることもできる。

 術後3ヶ月くらいで、普通の生活に戻ったと感じた。授業の時は4時間ずっと立ちっぱなしになるが、授業中に座りたいと思うこともなかった。もちろん授業中はアドレナリンが出ているためで、家に帰ると疲れを感じることもあったが、寝込んでしまうようなことはなかった。

 もちろん問題もあった。日本に帰った時はひどい胃炎を起こしていたし、タイに戻ってから軽い膀胱炎になった。そして先月は風邪をひいて、回復にかなりの時間がかかった。そしてずっと咳は出ている。

 がんになる前と今では、いろいろ考えることが変わってきた。人一倍元気で、ずっと健康でいられると思っていた私は、死について考えたことがなかった。もちろん手術でがんは取り除いてもらえたので、私の人生はまだまだ続くと思っている。でもいつか来る死について、考える時間を持つようになった。

 50歳を過ぎた頃、定年後はどうしようと考え始めた。仕事は楽しかったし、やりがいもあったので、60歳を過ぎても再任用で働くのもいいかなと思った。でも親しい人が定年を迎える前に現職死してしまったことから、本当に自分のやりたいことは何かと考えるようになった。

 若い頃からもう何十回もタイに旅行してきたけれど、いつかタイに住みたいという気持ちもあった。その思いが強くなり、タイに住む手段として日本語教師の資格を取った。そして運よく今の仕事について2年半が過ぎた。

 そして今、また私は何をしたいのだろうと考えている。このまま日本語教師を続けたいのか、それとも他のことがしたいのか。

 再発の恐れはないと思いたい。でも100%ないわけではないし、それより日本にいる両親が介護が必要になれば、帰国せざるを得ない。

 将来のことは誰にもわからない。でも悔いのない人生にするためには、自分が本当にやりたいことを探してやるしかないと思う。
 
 


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